オンラインカジノの利用者の摘発が相次いでいる。
オンラインカジノのこれまでの摘発は、利用者ではなく、オンラインカジノと利用者をつなぐ仲介業者、決済代行業者などがメインだったのだが、完全に潮目が変わったといえるだろう。
摘発の初期においては、オンラインカジノのプレイ動画を配信していたyoutuberが、その配信動画が動かぬ証拠となって摘発されるというような形でしか検挙されておらず、オンラインカジノの利用は「警察には見つかりにくい」とされていた。
だが、2024年現在では、警視庁は海外送金の記録や、匿名通報ダイヤルによる情報提供などによって、多数の利用者が摘発の憂き目にあっている。
もはや「オンラインカジノの利用は警察に見つかりにくい」という安全神話は崩壊したと考えたほうがいいだろう。
「自分だけは大丈夫だろう」が通用しないオンラインカジノ大摘発時代にすでに突入している、という現状認識を持たないのはきわめて危険な態度だ。
仮想通貨を使えば摘発されないという説を信じてはいけない
オンラインカジノの利用者のなかで、2024年の半ばころから流行したのが「仮想通貨を使ってオンラインカジノを入金した場合、銀行振込による入金よりバレにくい」という説だが、この根拠のない説を信じてはいけない。
そもそも入金して賭博行為をしてしまった時点で違法になる。
ただし、入金せずに無料デモや無料の入金不要ボーナスを利用した場合は違法ではない。
最近のオンラインカジノの摘発は、仮想通貨の利用者が目立ってきているのだ。
記憶に新しいのは、11月に一斉に行われた、都内、千葉、埼玉のオンラインカジノの利用者が12人書類送検された事案である。
この摘発が注目に値するのは、これが「仮想通貨を利用した違法賭博が初めて摘発された事件」であるためだ。
この大量の書類事件で検挙された人物は、「暗号資産を利用すれば足がつかないと思っていた」と供述している。
近年のオンラインカジノは、銀行振込による入金を行うと同時に銀行口座が凍結され、海外送金の記録が把握されるという事例が頻発しており、「銀行口座を利用すると足がつく」という危機意識が蔓延した。
「仮想通貨はバレにくい」という俗説は、こういった銀行振込に対する危機意識がきっかけとなって、オンカジの利用者の間に「対策」として流布したという背景を持っているのだが、この俗説が完全に誤りであったことを、11月の摘発は証明してしまった。
匿名通報ダイヤルが効果的に機能している現状
オンラインカジノの利用者の摘発が増えた最大の要因としては、匿名通報ダイヤルが効果的に機能している、ということが挙げられるだろう。
匿名通報ダイヤルというのは、匿名通報ダイヤルの通報対象となっている犯罪行為を匿名で通報することで「情報料」が支払われ、その情報が捜査に役立てられるというシステムである。
オンラインカジノの利用は、闇バイトなどと並んで2023年から匿名通報ダイヤルの対象となったが、対象になったことの効果が、一年経過することで、具体的な摘発というかたちで、如実に表に出始めたといった感がある。
オンラインカジノは、警視庁の本来の願望でいえば、本丸である「運営側」を摘発して根こそぎ根絶やしにしたいというのが本音であるだろうが、これは、オンラインカジノの運営が海外にある以上かなり難しい。
となると、やはり「トカゲのしっぽ切り」的であったとしても、オンラインカジノを利用する日本人ユーザーの摘発によって「オンラインカジノを利用するのは危険だ」という状態を作り上げることが、結局のところ最適な対処法ということになる。
この対処法がまずまず上首尾の結果をあげている、ということは、近年の摘発の現状から明らかだ。
「オンラインカジノで遊ぶのは危ない」と敏感に察知した人たちは、おそらく2023年の段階でオンラインカジノから距離を置いている。2024年になってなおオンラインカジノで遊んで、しかも摘発もされているというような連中は、あまりにも「嗅覚が鈍い」といったところではないだろうか。
まさに君子危うきに近づくべからずだ。
現在、オンラインカジノに接近すること以上に馬鹿げた選択はないと断言しても言い過ぎではないはずだ。